最初の2割の時間で8割の作業を終わらせる
面白さ:★★★☆☆
読みやすさ:★★★★☆
実用性:★★☆☆☆
・Windows95の裏話が聞ける
・ロケットスタート術を学べる
マイクロソフトに勤めWindows95を開発したチームにいたという著者の日頃の仕事の進め方が書かれた一冊。
全体的にエッセイ風で、時間術のノウハウがいっぱい載ってるような実用書を想像して読んだので、正直タイトルと中身が見合ってないなと思いました。
内容は主に
・ロケットスタート術について
・好きこそものの上手なれ
・著者のサクセスストーリー
・Win95誕生秘話
という感じです。
個人的にIT業界の話やWin95がいかにして生まれたかのくだりは興味深かったので読み物として面白かったですが、そういうのに興味がない人や流動的な仕事をしている人にはあまり実用性はなさそうに思います。
ロケットスタート術とは、
・最初の2割の時間に超集中して8割方の仕事を終わらせてしまう
・残りの8割の時間で仕上げの2割を流し作業で行う
というものです。
10日の仕事なら最初の2日でとりあえず動くプログラムをがーっと作ってしまう。早い段階でざっくりできていると心に余裕が生まれ、そして時間をかけて細かい修正や作りこみができる。ともかく納期までに仕上げることが肝要であり、直前に焦って徹夜して結局間に合わなかったとあっては最悪のパターンになってしまい上司を困らせる。
等、スタートダッシュの重要性が書かれていてとても納得しました。
また、この技術を応用して、
一日の仕事も最初の2割の時間でその日の作業の8割を朝一で一気に片づけてしまい、お昼からは流しでメールチェックや翌日の準備などをして過ごし、定時に帰る。という方法が提唱されています。
著者は界王拳と称してましたが、なかなか集中力を何倍にも引き上げるというのは誰にでもできることではないかなと、ハードルが高いように感じました。
とはいえ見積を甘く見て後で時間足りなくてヒイヒイ言ったり、いやだなーいやだなー明日がんばろうと言って先延ばしにして後悔したりはこれまで散々経験してきたことなので、2割で8割とまではいかずとも、スタートダッシュは心がけたいですね。
早くに全貌が完成すれば問題点にも早く気付けますしね。
余談ですが絶望先生という漫画で「90対90の法則」という話をしていました。
最後の10%を仕上げるために、それまでの90%にかかったのと同じだけの時間が結局はかかってしまう、というもの。
「仕上げ」って一番重要で一番大変な作業なのかもしれない。
ちなみにWin95が発売された当初、3500個ものバグが潜んだまま発売日を迎えたそうです。細かいバグは後でアップデートで直せばいいからとりあえず一通り動くものを作って発売日に間に合わせる、を最優先にしたとのこと。
仕上げを後から追っかけでできるのがネットの普及した時代の強みですね。
スタートダッシュを胸に刻みます。